第1講 京都ことば小辞典

おおきに かんにん 〜しはる。日常でほんまに使われる京ことばを最小限の語彙で。

この講で身につくこと
  • 日常頻出の京ことば約15語の意味が分かる
  • 敬語「〜はる」の使われ方が分かる
  • 無理に使わず聞き取れるようになる

まず押さえたいあいさつのことば

京ことばと聞いて多くの人が思い浮かべる「おいでやす」は、実は日常会話ではほとんど登場しません。お店の人がお客さんを迎えることばで、より丁寧な「おこしやす」は遠方からのお客さんや改まった場面向けとされます。暮らしのなかで実際によく耳にするのは、次のようなことばです。

ことば意味使われ方の例
おおきにありがとうお店で会計のあとに「おおきに」。感謝全般に使える
かんにんごめんなさい「かんにんえ」で軽い謝罪。深刻な謝罪には使わない
へえはい年配の方の相づち。「へえ、そうどすか」
おやかまっさんお邪魔しましたよそのお宅を辞去するときのあいさつ

敬語「〜はる」の仕組み

京都の会話で最も頻繁に登場する文法が「〜はる」です。「先生が言うてはった」「お隣さん出かけはったわ」のように、動詞に付けて軽い敬意を表します。標準語の尊敬語ほど堅くなく、身内や動物にまで使われることがあるのが特徴で、敬意というより「ことばあたりを柔らかくする」働きに近いものです。

聞き取りのコツはひとつだけ。「〜はる」「〜はった」が聞こえたら、主語は話し手ではなく第三者だと分かります。会話の登場人物を整理する目印として便利です。

暮らしで出会う生活語彙

ことば意味使われ方の例
ほかす捨てる「それほかしといて」。ゴミ出しの場面で頻出
なおす片付ける しまう「はさみなおしといて」。修理の意味ではない
かなん困る 嫌だ「雨降ってきたわ かなんなあ」
だんないかまわない 大丈夫「気にせんでだんない」。年配の方のことば
しんどい疲れた つらい関西全域で共通。体調にも気持ちにも使う
まったり味がまろやかで深い本来は味のことば。「まったりしたおだし」

実践のポイント

今日からできる3つ
  1. 自分から無理に京ことばを使わない。よそから来た人の京ことばは案外すぐ分かるもので、標準語のままで全く問題ありません
  2. 「ほかす」「なおす」だけは意味を取り違えると実害があるので先に覚える
  3. 「〜はる」が聞こえたら第三者の話。この一点だけで会話の理解度が大きく上がります